【アニメ】 『輪[まわ]るピングドラム』 感想

きっと何者にもなれないお前たちに告げる
幾原邦彦監督が送るペンギンと謎が満載の完全オリジナルアニメーション!
水族館で買ったペンギン帽に妹の命と引換えに「ピングドラム」を探してこいと言われた高倉兄弟。
ペンギン帽はいったい何者なのか?「ピングドラム」とはいったい何なのか?兄弟を待ち受ける「運命」は!?

「生存戦略しましょうか?」
────以上、MBS内『輪[まわる]るピングドラム」紹介サイトより引用


「せーーぞーん せんりゃくーーーーー!!」
「イマーージーーーン!」
といった雄叫びも印象的なこの作品は「セーラームーン」シリーズや『少女革命ウテナ』を手がけられた幾原邦彦監督によるテレビオリジナルのアニメです。
あきらの拙感想は以下にて。


 

泣けました。
正直、ストーリー全部を理解することはできませんでしたが、感動しました。
特に「子どもブロイラー」は胸に迫るものがありました。世界から捨てられた子どもが「透明な存在」へと処分される謎の施設は、虐待や放棄を受けた児童や子どもに非寛容な今の日本社会の暗喩のようにも見受けられますが、第二次ベビーブーマー世代であるあきらにも刺さりました。数が多い、ただそれだけで小さい頃から大人達に邪魔扱いされ、学校もぎゅうぎゅう詰め、受験も競争率が跳ね上がり、そして更に追い打ちをかけた就職氷河期。そんな過酷な競争の果てに「何者にもなれなかった」多くの団塊ジュニア。そんな「何者にもなれなかった」彼らとは社会人として羽ばたけなかった「ニート」なのか、夢を追い求めることをやめ翼をもがれた「サラリーマン」なのか。
そんな、あきらを含め「何者にもなれなかった」人々への鎮魂作のようにも思えました。

登場人物以外のモブがピクトで表現されているのは斬新でスタイリッシュでもありつつ不気味さを覚えます。象徴はそれだけにとどまらず、丸ノ内線を想起させる「地下鉄」、16年前(アニメの放映が2011年なので、1995年)の「地下鉄事件」、『銀河鉄道の夜』や「リンゴ」など、様々なモチーフが散りばめられ、その謎解きも含め色々と考え込まされてしまいます。
しかしながら、そういう難しいことは抜きにしても楽しめる、とても悲しいお話でした。

何度も繰り返し読み返したくなる小説のような、抜けない刺のように心に疼きを残し続ける、素晴らしい作品だったと思います。
ありがとうございました。

そういえば、プリンセス・オブ・ザ・クリスタルの存在だけがよくわからないままだったような。漫画や小説などで明かされるのかな……?


ということでオープニングはこんな感じ↓ 



そうそう、こんな素敵コラボもありました。


  
ところで、ペンギンって「同性愛」の象徴でもあったりするけれど、関係ないですよね……?
 
[追記]
京都大学新聞さんの「アニメ評 輪るピングドラム」が素晴らしかったです。ネタバレしてますので、読まれる際は予めご承知おきくださいませ。