【岡山県】 備前長船刀剣博物館 備前おさふね 刀剣の里『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』 2/3

うどん県から足を伸ばして岡山へ。前回に引き続き、備前長船刀剣博物館の『ヱヴァンゲリヲンと日本刀』展のお話です。今回は二階建ての博物館の、二階で展示されていたもの(の一部)をご紹介します。

ということで、まずは初号機。二階に上がったところに展示されていました。抑え気味の照明の中で浮かび上がるように立つ姿はやっぱりかっこいいです。



 

セカンドインパクト短刀。以下は展示品横の説明文より引用。
セカンドインパクト短刀  TANTO  -SECOND IMPACT-
短刀 銘 二千九年九月十三日
貞伸(さだのぶ)造 平成二十四年 (号 災禍の真実)
全長 41.9cm  刃長 30.3cm  反り 0.55cm  重量 340g
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刀身   刀 匠・月山一郎(刀匠銘 貞伸) 奈良県
研ぎ   研 師・関山和進         奈良県
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セカンドインパクトをイメージしたもの。日本刀の作刀技法の一つで鎌倉時代に一世風靡した相州伝(そうしゅうでん)にならい、激しくうねる鋼とそれに負けない力強い大きな刃文で表現。
セカンドインパクトによる災害のうねりを表現。
[引用ここまで]



刃の根元にはゼーレのシンボルが。刃文のうねりも美しく。



ゼーレマークを別角度から。




初号機仕様 脇指<序・破・急>。以下は展示品横の説明文より引用。
初号機仕様 脇指<序・破・急>
EVA TESTTYPE 01 WAKIZASHI <JO・HA・KYU>
脇指 銘 赤松伸咲(しんさく)作之
有志事黄成 (号 紫電緑閃)
全長 40.0cm  刃長 31.0cm  反り なし  重量 280g
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刀身    刀   匠・赤松伸咲(刀匠銘 伸咲) 岡山県
彫刻・金具 装剣金工師・木下宗憲(号   宗風) 岡山県
研ぎ    研   師・中尾豊次         岡山県
鞘・拵下地 鞘   師・石崎三郎         岡山県  
塗り    塗   師・岸野輝仁         岡山県
金具    白 銀 師・野口沙耶         岡山県
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先が剣のように両刃の冠落とし造り(かんむりおとしづくり)。
外装は刃を下にして右の腰に指す「右手指し(めてざし)」風に製作。右手指しとは戦国時代には、組み討ちの最中に相手を刺すために必要な装備として、刃を下にして右の腰に指していたもののこと。頭(かしら)に「序」、刀身裏側に「破」、小尻(こじり)に「急」を彫りこんである。
鞘には初号機のイメージで、本漆で紫色を表現。柄巻も緑に染色した鹿革を片手巻きにした伝統を踏襲したもの。
[引用ここまで]



上の画像では鎖が見切れてしまっているので別角度から。



脇指の下に展示されていた金具のようなもの。細工が細かいです。




零号機仕様の脇指「龍と槍」を手にする綾波さん。



綾波さんの持っている脇指の実物。
以下は展示品横の説明文より引用。
零号機仕様 脇指<龍と槍>
EVA PROTOTYPE 00 WAKIZASHI <DRAGON AND LANCE>
脇指 銘 広康(ひろやす)作
彫宗風 (号 協心丸)
全長 52.4cm  刃長 40.1cm  反り 0.8cm  重量 400g
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刀身    刀   匠・安藤祐介(刀匠銘 広康) 岡山県
彫刻・金具 装剣金工師・木下宗憲         岡山県
研ぎ    研   師・安井淳          岡山県
小柄    刀   匠・満足浩次(刀匠銘 弘次) 岡山県
鞘・拵下地 鞘   師・石崎三郎         岡山県
柄巻    柄 巻 師・橋本幸律         岡山県
塗り    塗   師・岸野輝仁         岡山県
金具    白 銀 師・野口沙耶         岡山県
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昔から刀身の彫刻で剣に龍が巻きついている図柄を倶利伽藍といい魔を滅する不動明王を表す。それを取り入れ、ロンギヌスの槍に龍が巻きついている図柄としている。鐔(つば)には伝統的な亀甲(きっこう)模様をとりいれつつ、劇中のパイロットの意識が途切れた様子を表現。零号機の胴体の描かれ方から、矢羽を図案化した「矢絣(やがすり)」という伝統的な模様を連想し、目貫や縁という金具に表現した。零号機の色をイメージしつつ、日本刀の塗りではあまりなじみのない山吹色を本漆で表現。柄巻も黄色と白の糸8本を使い、蛇腹系で伝統的な巻きでイメージを表現。
こうしたエヴァンゲリオンと伝統文化の融合をこころみた作品。
[引用ここまで]



龍と槍の部分。これはかっこいい。



柄の頭の部分。ちゃんと零号機してます。

 
 
付属の小柄。だったと思います。
「付属」と言って良いものかわかりませんが、脇指の横にあったので。





プラグスーツ仕様の短刀を手にする真希波さん。



真希波さんの持っているセカンドインパクト短刀の実物。
以下は展示品横の説明文より引用。

真希波マリ プラグスーツ仕様 短刀 
TANTO -MAKINAMI MARI PLUGSUIT MODEL-
短刀 銘 平成壬辰 弘次(ひろつぐ)作 (号 茉莉花小町)
全長 23.0cm  刃長 15.33cm  反り なし  重量 54g
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刀身    刀   匠・満足浩次(刀匠銘 弘次) 岡山県
研ぎ    研   師・福武審一         岡山県
鞘・柄   鞘   師・森隆浩          岐阜県
デザイン  造 形 家・上田隆浩         東京都
同上    デザイナー・村田護郎         東京都
塗り    塗   師・細江慎二         岡山県
金具    装剣金工師・木下宗憲(号   宗風) 岡山県
同上    白 銀 師・渡辺芳信         岡山県
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刀身の重ねは厚いが細身でスラッとした姿、芯の強さを感じさせる。のたれに互の目が交わる刃文は女性の体のライン、くびれを連想させる。
外装はマリのプラグスーツ姿をイメージし、現代デザイナーによって描かれたデザイン性を追求した拵。そのデザインをもとに伝統的な鞘師によって、すべて木で鞘を製作。白、赤、ピンクは本漆では表現できないところはカシュー漆などで代用した作品。
[引用ここまで]



 刃文、見えるかな?




弐号機仕様短刀を手にする式波さん。
三人のATフィールド帯がなんともお洒落。



式波さんの持っている弐号機仕様短刀の実物。
以下は展示品横の説明文より引用。
弐号機仕様短刀 <式波・プラグスーツ>
EVA-02 SHORT SWORD <SHIKINAMI PLUGSUITE>
短刀 銘 備前長船広康(ひろやす)作
平成壬辰年春 片山重恒彫之 (号 火火駒)
全長 34.4cm  刃長 24.1cm  反り なし  重量 140g
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刀身    刀   匠・安藤祐介(刀匠銘 広康) 岡山県
彫刻・金具 刀身彫刻師・片山恒 (号   重恒) 岡山県
研ぎ    研   師・福武審一         岡山県
鞘・拵下地 鞘   師・石崎三郎         岡山県
柄巻    柄 巻 師・三谷修史         香川県
塗り    塗   師・岸野輝仁         岡山県
金具    白 銀 師・野口沙耶         岡山県
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金具製作含め、若手刀身彫刻師(とうしんちょうこくし)によるデザインをもとに製作。中でも刀身彫刻には、大胆にもアスカ自身をふすまの上に飾られている欄間(らんま)のように透彫(すかしぼり)にしている。現存するもので観音様を彫ったものはあっても、女性を彫ったものは無いのではないか。
さらに、鞘の日本刀をいれる口の部分=鯉口(こいくち)を大胆にも斜めにデザインに対して、ベテランの鞘師や絵巻師が緻密な計算によって完成。20代から70代の職方が参加して制作された。
[引用ここまで]



透し彫り部分のアップ。
いつもの(?)ポーズを決めるアスカですが、わかりますか?



鞘と柄の全体像。



柄部分のアップ。十字架がきいてます。



鞘の先のアップ。NERVロゴがきいてます。
でも、ロゴが入ってるということは官給品設定?




ここから先は電撃ホビーマガジンにて連載中の、『新世紀エヴァンゲリオン』のスピンオフ企画『エヴァンゲリオン ANIMA』に登場するものからの作品だそうです。



弐号機F型用 ATF曲刀。以下は展示品横の説明文より引用。
弐号機F型用 ATF曲刀  EVA-02F ATF ROUND KNIFE
筑紫薙刀 銘 備前國彰光(あきみつ) (号 雨龍)
全長 52.8cm  刃長 52.8cm  反り 1.3cm  重量 880g
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刀身・柄  刀 匠・横井彰二(刀匠銘 彰二) 岡山県
研ぎ    研 師・福武審一         岡山県
白鞘    鞘 師・永宗清三         広島県
籐巻    柄巻師・飯山隆司         東京都
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エヴァの画集で曲刀を見たとき、刀剣の世界でいう「筑紫薙刀(ちくしなぎなた)」を連想し製作。
筑紫薙刀は現存するものは少ないが、室町時代、九州の戦国大名、大友家が盛んに使用したもので、鉈のように柄をつけるのが特徴である。
持ち手の柄巻には昔から使われる籐(とう)を使って渋くて、新しい柄を創造。
[引用ここまで]



全体像のアップ。
筑紫薙刀はこういうものみたいですね。



別角度から。
さりげなく鋲(?)が十字形に打たれています。




カウンターソードを持つ初号機。



カウンターソードの実物(?)。以下は展示品横の説明文より引用。
カウンターソード  COUNTER SWORD
脇指 銘 晶平(あきひら) 於川越城下 (号 紫苑)
全長 73.1cm  刃長 55.9cm  反り 1.7cm  重量 620g
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刀身  刀 匠・川崎仁史(刀匠銘 晶平) 埼玉県
研ぎ  研 師・小川和比古        千葉県
柄   造形家・上田隆弘         東京都
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修業時代に夢を語り合い、影響を受けた友人から触発され知ったエヴァンゲリオン。その人気武器に刀匠が挑んだ意欲作。
脇指(わきざし)のような位置づけで、少し自由度のある自分らしいカウンターソードを表現しようと試行錯誤した結果うまれた、「冠落とし造り(かんむりおとしづくり)」型カウンターソード。
刃文にはキラキラと鋼(はがね)の結晶構造が宇宙の星つぶに見えるよう鋼を作り、焼きを入れ、研がれたもの。
外観は合成樹脂で製作されているが、鞘の内部は朴の木で作った「入れ子鞘」という伝統的な複合鞘でカウンターソードのデザイン性を維持した作品。
[引用ここまで]



別角度から。キラキラの結晶構造までは撮れなかったけど、刃文が綺麗です。




マゴロクソードの設定画、かな?



ということで、マゴロクソードです。以下は展示品横の説明文より引用。
マゴロクソード  MAGOROKU SWORD
刀 銘 美濃國住兼國(かねくに)作 (号 オオムラサキ)
全長 94.4cm  刃長 72.8cm  反り 1.8cm  重量 760g
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刀身  刀 匠・尾川光敏(刀匠銘 兼國) 岐阜県
研ぎ  研 師・藤村金吾         岐阜県
鞘   鞘 師・森隆浩          岐阜県
金具  白銀師・平田実          岐阜県
塗り  塗 師・細江慎二         岐阜県
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マゴロクとは日本刀の世界では戦国時代、現在岐阜県関市にいた刀匠の名前。
中でも、二代目が特に好まれ、「関の孫六(せきのまごろく)」と呼ばれた名工である。その二代目が創始し、三代目が確立したという独特な刃文「三本杉」の刃文が見え隠れする独自なマゴロクを製作。
外装は資料にあるマゴロクソードのフィードバック的な位置づけで、エヴァのテイストから離れすぎず、人が持って使える武器を目指して制作。
[引用ここまで]



別角度から。



柄のアップ。刃文もなんとか見えるかな?



  
「ANIMA」と登場する武器(兵器)の紹介。



ビゼンオサフネ豆太刀。以下は展示品横の説明文より引用。
ビゼンオサフネ豆太刀  BIZEN OSAFUNE MAMEDACHI
小太刀 銘 ビゼンオサフネ 赤松伸咲(しんさく)作之 (号 黒き三日月)
全長 38.3cm  刃長 30.7cm  反り 0.45cm  重量 106g
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刀身  刀  匠・赤松伸咲(刀匠銘 伸咲) 岡山県
研ぎ  研  師・横山智庸         岡山県
白鞘  鞘  師・石崎三郎         岡山県
柄下地 木工作家・福田眞一         岡山県
柄巻  柄巻師 ・橋本幸律         岡山県
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江戸時代の五月人形やお雛様のお内裏様や太刀持ちの太刀はミニチュアの本物の太刀が入っていることがある。本作もこうした節句刀を作っている感覚で制作されたもの。小さいので刀身の姿を打ち出す「火造り」の工程が意外と難しいらしい。
柄巻の革巻は同じ柄巻師が巻いたもので、長い大太刀と見比べると紐の太さや、紐が交差するところで撮んでいるかどうかなど苦労されていておもしろい。
[引用ここまで]




ビゼンオサフネ。以下は展示品横の説明文より引用。
ビゼンオサフネ  BIZEN OSAFUNE
太刀 銘 日州國正(くにまさ)
平成二十二二年春 (号 ビゼンオサフネオオクニマサ)
全長 144.2cm  刃長 112.8cm  反り 5.2cm  重量 1,770g
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刀身  刀 匠・松葉一路(刀匠銘 國正) 宮崎県
研ぎ  研 師・横山智庸         岡山県
白鞘  鞘 師・森隆浩          岐阜県
柄   造形家・上田隆弘         東京都
柄巻  柄巻師・橋本幸律         岡山県
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ビゼンオサフネという名は、現存する名刀の約半数を製作した、世界一の日本刀生産量を誇るここ「備前長船」という場所の名前である。
大太刀にはエヴァンゲリオンで描かれる人間の葛藤と未来への限りない可能性を、力を込めて表現されている。研師にとっては角度を固定して研ぐのが大変だったと思われる。
巻きが交差する場所を両方ともつまんで巻く、諸撮巻(もろつまみまき)という主流な巻き方で表現されている。
[引用ここまで]



柄側から別角度で。



別角度その2。刃先側から。迫力あります。



ということで、今回は博物館2階に展示されていたエヴァものをお送りしました。