【アニメ】 『グイン・サーガ』 感想

首都クリスタルへのモンゴール軍の奇襲により、中原の歴史ある国パロは滅亡の危機に瀕していた。国王、王妃までもがモンゴール兵により殺害される中、太古よりパロ王家に伝わる古代機械(物質転送装置)により、友邦国アルゴスへ移送される筈だったパロの王太子レムスとその双子の姉リンダはモンゴール辺境のルードの森へと転送されてしまう。
身を守る術とてないレムスとリンダをついにモンゴール軍の小隊が発見し、2人は絶体絶命の危機に追いつめられる。しかしその時、突如として現われた豹頭人身の異形の超戦士が小隊を全滅させ、双子は難を逃れる。自分自身の名と「アウラ」「ランドック」という2語を除き、全ての記憶を失っていたこの豹頭の男グインの登場から世界は少しずつ動き出す。
−wikipediaの「グイン・サーガ」の項より内容を一部加筆・削除して引用。

原作は栗本 薫さんの同名タイトルの小説で早川書房より文庫が正伝・外伝合わせて150巻近くが発表されている未完のファンタジー小説です。姉がハマっていたこのお話に一緒になってハマり、愛読していたのは中学の頃。その後受験などに追われ、適当に話が区切れた所で読むのをやめてしまったのですが、若林監督をはじめとするそうそうたるスタッフが集結してアニメ化、と聞けば観ない訳にはいきません。
ということで、感想は以下から。

あっと、その前に。アニメ版公式サイトはコチラ→ http://www.guinsaga.net/index.html です。




えーっと、まず、「愛読していた」と書きましたが、アニメ版を観始めたら話をほとんど覚えていない事が発覚。がーん。しかしながら、こんなうろ覚えエセ読者や全然作品を知らないダンナでもスッとその世界に入って行けるわかりやすい作品に仕上がってました。

1回の放送枠の中で起承転結をきっちり提示しつつ「連載」としての起承転結(伏線張りとその解決)もきちんと提示する丁寧な脚本とその見せ方は素晴らしかったと思います。
大きな流れはパロの二粒の真珠(リンダとレムス)がパロに帰還するまでの道のり、ということから様々な民族や国(もちろんキャラクターも)が登場しますが、それらの違いは服装や建造物、風景などできちんと紹介されています。個人的には、この部分の考証はかなり大変だったのではないか、そして作画まで一切手抜きナシだったのではないかと思い感動しました。

「ヤーンの長い二枚舌にかけて」「ヤヌスの黄ばんだ髭にかけて」など、普通だったら本筋に関係ないからと削除されてしまうかもしれない面倒な台詞もきちんと残っているし、また、現実では絶対言わないであろうこれらの台詞をごく自然に話す声優さん達の演技も素晴らしかったと思います。
そして、誰もが感動するであろう植松さんの音楽!力強くて美しい!!

原作をきちんと読まれている真の愛読者さんにとっては不満点は多々あるかと思います。けれども、「小説はちょっと……」「巻数多いし……」という理由で原作を敬遠している方に対する作品の紹介、興味の喚起、これを観て気に入ったら原作を手にとってほしい、というスタッフさんの切なる願いと、原作に対する大いなるリスペクトはひしひしと伝わりました。丁寧に作り込まれた良作だと思います。

そんなアニメ版『グイン・サーガ』の紹介映像がコチラ↓


因みに、監督の若林さんはアニメ版『NARUTO』では動画担当としてもの凄い映像作品を仕上げていた方と記憶しています。記憶違いでなければ、確かコレ↓がその一例です。
http://www.youtube.com/watch?v=Q17OTH0nIQQ
※映像のみ、音なしの映像です。
人間の動きを忠実に表現したこちらのアニメーション映像と比較すると「デフォルメによる動きの表現」の豊かさを感じられるかもです。

最後にどうでも良いことをふたつ。あきらの『グイン・サーガ』内の好きキャラはグインとスカールさまです。でもって、イシュトバーンの「やれやれだぜ」はウチの流行語となりました。